SDS(安全データシート)とは?
フラックス洗浄剤評価検討・購入・保管に必須の知識を解説
SDS (Safety Data Sheet:安全データシート)とは、化学物質の取り扱いや該当法令、廃棄・輸送方法、危険性や有害性に関する重要な情報を記した資料です。フラックス洗浄剤の適用法令や引火点有無、使用上の注意、保護具の使用要否、廃棄などが10ページ以上に渡り記載されています。今回は特に注目していただきたい重要事項や、よくあるご質問について解説します。
目次
1. SDS(安全データシート)とは
1.1 SDS(安全データシート)とは
1.2 SDSとMSDSは違うもの?
1.3 SDSで確認できること
1.4 SDS制度の対象事業者とSDSを提供しなくてもいい化学品
3. SDSの重要事項
1項 化学品及び会社情報(万が一のトラブルの際、問い合わせ先が知りたい)
2項 危険有害性の要約(有害性や保護具使用について確認したい)
3項 組成及び成分情報(リスクアセスメントに該当するか知りたい)
9項 物理的及び科学的性質(引火点がない製品を検討したい)
15項 適用法令(PRTR法を含む安衛法、化管法及び毒劇法に該当するか知りたい)
GHSラベルとは
4. よくあるご質問
5. フラックス洗浄剤検討時の評価ポイントとSDSの理解
5.1 検討目的①安全性向上とSDS
5.2 検討目的②洗浄性とSDS
5.3 検討目的③ランニングコストとSDS
公開日:、最終更新日:
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SDS (Safety Data Sheet:安全データシート)とは、化学物質の取り扱いや該当法令、廃棄・輸送方法、危険性や有害性に関する重要な情報を記した資料です。
国内の他の事業者に対象となる化学品を譲渡・提供する全ての事業者がSDS提供の対象となります。
化学物質の安全な取り扱いと管理を確保するために、各国の法律や規制によって厳格に定められおり、この義務を遵守することは、企業が従業員や環境の安全を守るだけでなく、法的なリスクを回避し、信頼性を高めるためにも不可欠です。

SDSとMSDSは同様です。 以前はMSDS(Material Safety Data Sheet:製品安全データシート、化学物質安全データシート)と呼ばれていましたが、2011年度より国際整合の観点より『SDS』に名称が変更となりました。
・化学品の物性や適用法令、使用上の注意、有害性等の確認
・緊急時の対応や連絡先
・保護具(手袋やマスクなど)の要否
・輸送上の注意
・使用後の洗浄剤の廃棄に関する注意点 などが確認可能です。
SDS制度の対象事業者:
化管法に基づくSDS制度の対象事業者は、原則として、国内の他の事業者に指定化学物質又は指定化学物質を規定含有率以上含有する製品を譲渡又は提供する全ての事業者です(業種・常用雇用者数・指定化学物質の年間取扱量による除外要件はありません)。
化管法においてSDSを提供しなくてもいい化学品:
下記は基本的にSDSの提供は不要です。ただし、化管法においてSDSの提供が不要とされている場合でも、労働安全衛生法や毒物及び劇物取締法など、他の法令によりSDSの提供が義務づけられることがあります。
- 対象化学物質の含有率が1%未満(特定第一種指定化学物質の場合は0.1%未満)の製品【=含有率が少ないもの】
- 固形物(粉状や粒状のものを除く)【=金属板、管など】
- 密封された状態で使用される製品【=乾電池など】
- 一般消費用の製品【=家庭用洗剤、殺虫剤など】
- 再生資源【=金属くず、空き缶など】
化学物質の安全な取り扱いを確保するために標準化された16項目から構成されています。
項目 | 概要 |
---|---|
1. 化学品及び会社情報 |
化学品の名称(商品名)、製造元(メーカー名)、使用用途、問い合わせ先など |
2. 危険有害性の要約 | 健康被害などの恐れがある物質を区分ごとに記載、GHSラベルの記載 |
3. 組成及び成分情報 | 表示が必要な化学品の組成や成分 |
4. 応急措置 | 応急手当処置に関する説明(皮膚に付着した場合、目に入った場合 など) |
5. 火災時の措置 | 火災時の適切な消化方法など |
6. 漏出時の措置 | 漏出時の人体・環境に対する注意事項 |
7. 取扱い及び保管上の注意 | 使用時の安全な取扱方法・容器の保管条件など |
8. 曝露防止及び保護措置 | 曝露(ばくろ)管理パラメータや必要な保護具(手袋、保護メガネなど) |
9. 物理的及び化学的性質 | におい、色、引火点、発火点、ph値、沸点、融点、密度 など |
10. 安定性及び反応性 | 化学品の安定性や有害反応の可能性、避けるべき条件など |
11. 有害性情報 | 急性毒性、眼・皮膚・呼吸器などに対する刺激作用など |
12. 環境影響情報 | 化学物質が環境へ与えうる影響(影響生態毒性、分解性など) |
13. 廃棄上の注意 | 使用後の化学品及び、化学品が付着した容器等を安全に処理する方法 |
14. 輸送上の注意 | 陸上・海上・航空輸送をする際の注意事項 (危険クラス、環境・海洋汚染有害性該当など) |
15. 適用法令 | 化管法(化学物質排出把握管理促進法)、 安衛法(労働安全衛生法)、毒劇法(毒物及び劇物取締法)に該当する法令 |
16. その他の情報 | 上記に該当しないが化学品保有にあたり重要な情報 |
本ページではフラックス洗浄剤の検討・購入・保管・廃棄時に関連する、重要な事項を5項に絞り解説します。
万が一のトラブルの際、問い合わせ先が知りたい:
製品名、メーカー(製造元)の会社情報、お問い合わせ先等が記載されています。万が一トラブルがあった際にそなえ、連絡先を把握しておくことは大切です。
健康・環境への有害性を確認したい:
化学品の健康・環境への有害性について、概要がわかります。
危険有害性区分
区分1~区分5の5段階区分に分けられており、数値によって有害性が変わります。

区分5(有害性低い)⇒区分1(有害性高い)
化学物質がリスクアセスメントの対象になるかを知りたい
成分名に併せて記載がある『CAS番号』を下記より検索し、該当すればリスクアセスメント対象となります。
出展:厚生労働省 職場のあんぜんサイト:https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/gmsds640.html

引火点がない製品を検討
本項には、引火点・発火点・密度等を記しています。
消防法では、引火点によって危険物の分類が異なり、保管方法や数量によって規制が異なります。指定数量以上の化学物質を保管する際は注意が必要です。

PRTR法を含む安衛法、化管法及び毒劇法に該当するか知りたい
SDSの適用法令欄について詳細な規定はありませんが、受け取った者が適切に対応できることが必要です。このため、まずはSDSの提供を義務付けている法令(安衛法、化管法及び毒劇法)の適用有無を15項に記載します。

GHS(正式名称:The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)は
「化学品の分類および表示に関する世界調和システム」と呼ばれ、世界的に統一されています。
洗浄剤(SMT実装工程向けや半導体向けなど)に関連するGHS絵表示例
![]() 感嘆符 |
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![]() 健康有害性 |
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![]() 環境 |
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|
![]() 炎 |
|
|
4. よくあるご質問
SDSに関連するご質問についてお答えします。
- 化学品の廃棄方法は?
13項『廃棄上の注意』をご確認いただき、記載に応じた該当化学品や化学品が付着した容器等の廃棄をしてください。
※使用後のフラックス洗浄剤ははんだ・フラックス成分が含有しているため、産業廃棄物の取り扱いが変わる可能性があります。(廃アルカリ/廃油)都道府県の許可を受けた産業廃業物業者にご確認ください。 - SDSはどうやって手に入る?
製造元(メーカー)や供給者にご連絡いただければ手に入ります。弊社製品SDSのお問い合わせ先は
こちら - 使用している製品でリスクアセスメント実施後、リスクレベルでⅢ、Ⅳがでたため、対策が必要。どうしたらいい?
リスクレベルⅢ、Ⅳについては、ばく露濃度を基準以下または最小となる措置をとることが必要です。対策案としては下記があります。
①代替物質の使用 :例)安全性の高い洗浄剤に変更
②換気装置等を使用し稼働:例)外付け式局所排気/囲い式局所排気
③作業方法の改善:例)作業時間の短縮
④有効な呼吸用保護具の使用:例)防毒マスク(半面形面体/前面形面体)
検討目的①安全性向上とSDS
『安全性』の判断基準例・・・作業者への健康被害/事故発生の危険/環境への悪影響
①2項:GHSラベルで簡易的に人体や環境への危険性/有害性の確認が可能
②9項:引火性を確認
②15項:適用法令で消防法・毒劇法等を確認
検討目的②洗浄性向上とSDS
洗浄性は目標に達しているのか?フラックス洗浄剤を使用する1番の目的として、『フラックス残渣の除去』があります。SDSのみでは総合判断が難しいケースも出てきます。また、作業工数/時間が短縮できることで、リスクアセスメント(RA)数値も向上する可能性があります。

検討目的③ランニングコストとSDS
購入時の洗浄液単価が低くても、安全対策などで長期的なランニングコストが上がる場合もあります。
- 保護具(手袋・保護メガネ・防毒マスク・防護服など)
- 防爆装置
- 安全管理者の設置
- 労働者の健康診断などを含め、長期的に判断をすることが必要です。
※洗浄剤選定の際はSDSの正しい理解に併せた、総合的な判断が必要です。
ゼストロンは『水系洗浄剤』に特化しており、水以外の化学物質もより安全性の高いものを使用しております。
そのため、引火性がなく安全面・環境面に配慮された洗浄剤です。
各種法令対応、安全性の高い洗浄剤への代替相談はぜひゼストロンにご相談ください。
剥離洗浄とは?ゼストロン洗浄剤とアセトンの比較
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